こんにちは。よろず(@indexperience)です
米国インデックス投資においてS&P500指数(SPX)は王道中の王道として紹介されています。
S&P500指数は時価総額の大きい銘柄を中心に上位から500銘柄が組み込まれています。この指数だけで米国の株式時価総額の約80%をカバーしています。よってこのETFをひとつ買えば、アメリカの株式市場全体に投資している状況となりますね。
S&P500をベンチマークとしている代表されるETFは以下の三銘柄です。
- バンガード・S&P500 ETF(ティッカー :VOO):0.03%
- iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(ティッカー :IVV):0.04%
- SPDR® S&P 500® ETF (ティッカー :SPY):0.09%
上記の3銘柄がある状況で、SPYを有するSSGA(state street global advisors)が、SPLGのベンチマークをS&P500(SPX)に変更すると発表しました。
以下の記事では、これまでの内容しか分かりませんが、なぜ同じ会社が2つのETFを出すことになったのか?意外にも個人投資家の為だったのです。早速、内容と戦略を確認して行きましょう
ステートのETF「SPLG」がベンチマーク変更、S&P500連動でコスト最安に| モーニングスター検索
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは20年1月24日に、米国上場ETF(上場投資信託)の「SPDR ポートフォリオ米国大型株式 ETF」(ティッカー:SPLG)のベンチマークをS&P500種株価指数に変更する。
S&P500 各ETFの違い
ティッカー | 基準価額 | 経費率 | 資産額 | 出来高 |
SPY | $324 | 0.09% | 3157億ドル | 59,253,833 |
VOO | $298 | 0.03% | 1318億ドル | 3,149,761 |
IVV | $326 | 0.04% | 2029億ドル | 4,072,016 |
今回はSSGAのSPYを軸に説明してみます。
SPYは最も資産額と出来高が多いです。ここが非常に重要なポイントになります。出来高の多さが意味するのは「流動性を目的に投資機関によって動的に取引されている」と言うことです。つまりBidとAskの差が小さく、SPYはデイトレ向きと言えます
次に注目したいのは経費率です。最もコストが低いのはVOOの0.03%になりますので言うまでもないですが、長期保有したい個人投資家を対象とした商品がVOO /IVVです
以下の過去10年チャートでも若干VOOがSPYをアウトパフォームしていますね
まとめ
SPY/VOO/IVVはS&P500 ETFとしてまとめて紹介されがちですが、狙っている対象が違うことが分かりました
S&P500指数でデイトレしたいならSPY
長期保有したいならVOO / IVV
SPYが抱える3つの問題点
1.経費率が0.09%と最も高い
上記で述べて来た内容ですね。SPYは最も古いS&P500指数連動ファンドですが、後発のVOO / IVVの経費率によって、ここ数年市場に参入したコスト意識の高い投資家を奪われてしまっています。
2.価格が0前後まで上昇し買いにくい状況へ
これはそのままの意味です。2010年に$120-130程度だった価格も、今や$300前後となり積立投資していくにも口数を増やしにくい状況となっています。ざっくり3万円単位でしか買えないとなると投資効率も悪化しますよね。
一見高価に見える状況は「投資家の心理が重要だ」とSPDRグローバルヘッドのNoel Archardが米国内の投資インタビューで述べています
※VOO/IVVも共通の問題を抱えています
3.SPYはユニット投資信託なので配当再投資できない
SPYはユニット・インベストメント・トラスト(UIT)という形態を採用しています。そのデメリットとして企業が払う配当金を、四半期に一度にまとめてしか再投資出来ない点にあります。配当を即再投資出来ずにキャッシュとして余分に保有してしまうようです。
これに対して後発のIVVとVOOはOpen-end-fund方式を採用しており、期限を定めていません。配当金の再投資も可能なため、UITで問題とされていた配当金の運用効率の低下に関しては、Open-end Fundでは問題となりません。
SPLGのベンチマーク変更で全て解決!
上記で述べて来たSPYの問題解決がSPLGのS&P500 ETF化になります。現在の機関投資家に重宝されているSPYの立ち位置はそのままに、VOO / IVVに奪われた個人投資家のシェアを取り戻す為のSPLGと言うことですね。
SPLG情報
・株価:$38.1
・経費率:0.03%
・資産:35億ドル
・出来高:62,476
約$40からS&P500指数ETFを購入出来るのは、素晴らしいことだと思います。同じ経費率のVOOに比べると資産が少ないですが、35億ドルもあれば十分だと思います。これから投資を始める資産形成期の個人投資家をターゲットにしているなーと伝わって来ます
一点心配なのは、今後のずっとベンチマーク指数をS&P500としてくれるのか?と言う点ですね。SPLGは過去にもベンチマークをラッセル1000からSSGA大型株指数に変更した経緯があります。まぁどちらもS&P500と内容は近い指数だったので、これ以上の変更はないとは思いますが。
まとめ
SPDRより資産形成期の個人投資家に狙いを定めたS&P500 ETFが誕生します。その特徴は、購入しやすい価格の低さと、VOOと同じ経費率の実現です。
米国ETF買い付け時の最低取引手数料の撤廃や、今後の一部ETFの買い付け手数料無料化など、個人投資家に優しい環境がどんどん整っており有難い限りです。
私もVOOを中心としたポートフォリオですが、一回の配当金ではVOOの買い増しが出来ないのが実情です。ですがSPLGであれば購入が可能なんですよ。次回の配当金ではSPLGを買うかも知れませんね。今後も継続してウォッチして行きたいと思います。